「モーリスのギターって、なんだかおじさん臭くない?」
楽器店でモーリスを見かけたとき、そんなふうに感じて素通りしてしまったことはありませんか。
1970年代のフォークブームを知る世代には懐かしく、若い世代には少し古びて見えるかもしれません。
しかし、その先入観だけで選択肢から外してしまうのは、あまりにももったいない話です。
この記事では、モーリスがなぜ「名器」と称され、今なおプロに愛されるのか、その真の魅力を余すことなくお伝えします。
読み終える頃には、あなたのギター選びの基準がガラリと変わり、最高の一本に出会えるはずです。
モーリスのギターがダサいと言われる3つの理由
モーリスという名を聞いて、昭和のフォークソングを歌うお父さん世代をイメージする人は少なくありません。
かつて「モーリス持てばスーパースター」というキャッチコピーで一世を風靡したことが、現代では裏目に出ている面もあります。
流行の最先端を走っていたはずのブランドが、なぜ今「ダサい」というレッテルを貼られてしまうのか。
その理由を掘り下げていくと、日本のアコースティックギター史におけるモーリスの特異な立ち位置が見えてきます。
1970年代のフォークブームのイメージが強い
モーリスは1970年代、日本のフォークソングの黄金期を支えた最大の立役者でした。
当時は誰もがモーリスを抱え、公園や河原でジャカジャカと弾き語りを楽しんでいた時代です。
その熱狂があまりに強烈だったため、「モーリス=フォークソング」という固定観念が定着してしまいました。
今の若者にとって、そのイメージが「昔の流行り物」として映ってしまうのが、ダサいと言われる最大の理由です。
昔のテレビCMの印象がおじさん世代を連想させる
かつて放送されていた「モーリス持てばスーパースター」というCMは、当時の若者の心を鷲掴みにしました。
しかし、そのCMをリアルタイムで見ていた層が今やベテラン世代となり、ブランド全体の若返りを阻んでいます。
特定の世代に深く浸透しすぎた結果、新しいプレイスタイルを持つ10代や20代にとって、自分の楽器としてイメージしにくくなっています。
ブランドロゴを見るだけで「お父さんのギター」を連想してしまう心理的な障壁は、思いのほか根深いものです。
安価な入門用ギターのイメージが先行している
ブームの最中、モーリスは大量生産によって非常に安価な入門モデルを市場に溢れさせました。
それらは決して悪い楽器ではありませんでしたが、「安くてどこにでもあるギター」という印象を植え付けてしまったのです。
一方で、熟練の職人が作る高級モデルの存在が、その陰に隠れてしまったのも事実です。
手軽に手に入る大衆機としての顔が有名になりすぎたことで、一流ブランドとしての輝きが曇って見えているのです。
モーリスが国産「名器」として評価される根拠
「ダサい」という言葉の裏側で、ギターの構造を熟知した玄人たちは、モーリスを「国産最高峰の一つ」と高く評価しています。
長野県松本市にある工場では、今もなお世界に誇るべき緻密なギター作りが続けられています。
モーリスが単なる流行の産物ではなく、本物の名器であると言い切れるのには、確かな技術的根拠があります。
プロの現場でも選ばれ続ける、モーリスの真の価値について詳しく解説しましょう。
熟練職人が手がける松本工場のハンドメイド
モーリスの真髄は、長野県の松本工場で作られる「ハンドメイド・プレミアム」シリーズに集約されています。
ここでは選りすぐりの職人が、木材の選定から最終的な調整まで、一切の妥協を許さず一本ずつ仕上げています。
木材が持つ個体差を職人の指先が見極め、削り具合を調整することで、量産品には出せない深い響きを実現しています。
この「人の手」による細やかな作り込みこそが、モーリスを一生モノの楽器へと押し上げているのです。
伝統の「アリ溝方式」による音の解像度
モーリスは、ネックとボディを繋ぐ手法として、伝統的な「アリ溝方式(ダブテイル)」を一貫して採用しています。
これは木材同士を複雑な形に加工して噛み合わせる手法で、ネジ止めよりも遥かに手間がかかりますが、音の伝達効率は抜群です。
弦の振動がネックからボディへと淀みなく伝わるため、音の立ち上がりが鋭く、解像度の高いサウンドが生まれます。
見えない部分に手間をかけるこの姿勢が、弾き込むほどに深みを増す「モーリス・サウンド」を支えています。
海外生産品も松本で再検品する品質へのこだわり
驚くべきことに、モーリスは海外工場で作られた安価なモデルであっても、すべて一度松本工場へ運び入れます。
そこで日本のプロ職人が箱を開け、気候に合わせた調整や検品を改めて行ってから出荷しているのです。
この徹底した品質管理のおかげで、低価格帯のモデルでも「ハズレ」が極めて少ないのがモーリスの強みです。
どこで作られたモデルであっても、最終的には日本の職人の魂が吹き込まれている安心感があります。
ソロギターの聖地!Sシリーズが選ばれる理由
歌の伴奏としてのギターではなく、メロディと伴奏を同時に奏でる「ソロギター(フィンガースタイル)」。
この分野において、モーリスの「Sシリーズ」は世界的に見ても特別な存在として君臨しています。
中川砂人氏や打田十紀夫氏といった名手たちの意見を取り入れ、ゼロから開発されたこのシリーズ。
なぜ多くのソロギタリストがモーリスに行き着くのか、その革新的な設計に迫ります。
フィンガースタイルに特化した独自設計
Sシリーズは、指で弾いたときの音のレスポンスを最優先に考えて設計されています。
ボディの形状から内部の骨組み(ブレイシング)に至るまで、繊細なタッチでも豊かな音が鳴るように工夫されています。
ピックで力強く弾くのではなく、指先のわずかな動きを音に変えてくれる反応の良さが最大の魅力です。
ギター一本でオーケストラのような表現を目指すプレイヤーにとって、これほど頼もしい相棒はいません。
唯一無二の「ラウンドバック」が生む豊かな倍音
多くのモーリスギターには、ボディの裏板をゆるやかにカーブさせる「ラウンドバック」構造が採用されています。
これによりボディ内部の空間が広がり、アコギ特有のきらびやかな倍音成分がより豊かに響くようになります。
音がこもらず、高音から低音までバランスよく抜けてくるため、メロディラインがハッキリと浮かび上がります。
この立体的なサウンドこそが、耳の肥えたソロギタリストを虜にする秘密なのです。
複雑なコードも押さえやすいオフセット・ナット
Sシリーズには、全弦をわずかに6弦側へ寄せて配置する「オフセット・ナット」という独自の工夫が見られます。
これにより1弦側の指板に余裕が生まれ、難しいコードを押さえたときに指が弦から落ちてしまうミスを防げます。
テクニカルな楽曲に挑戦する際、この数ミリの余裕が演奏の成功率を劇的に高めてくれます。
演奏者の苦労を知り尽くしたモーリスならではの、現場主義な設計が光るポイントです。
初心者にもモーリスのギターがおすすめなメリット
ギターを始めたばかりの頃、多くの人が直面するのが「指が痛くて押さえられない」という悩みです。
モーリスのギターは、そんな初心者の挫折を未然に防いでくれる、非常に優しい設計がなされています。
「スーパースター」を目指すかつての若者たちを支えてきたブランドだからこそ、入門者への配慮は世界トップクラスです。
初心者がモーリスを選ぶべき、3つの具体的な理由を見ていきましょう。
弦高が低く調整されており指が痛くなりにくい
モーリスのギターは、工場出荷時の弦の高さ(弦高)が、他社に比べても低めに設定されています。
これは「フレットの後打ち」という高度な技術によって、指板の平らさを極限まで高めているからできることです。
軽い力で弦を押さえられるため、指先の痛みを最小限に抑えながら練習を続けることができます。
「Fコードが押さえられない」という最初の壁を、モーリスなら楽に乗り越えられるはずです。
日本人の体格でも抱えやすいボディサイズ
モーリスは日本のメーカーであるため、日本人の平均的な体格に合わせたボディ形状が研究されています。
海外ブランドの大きなギターでは右肩が上がって疲れてしまう人でも、モーリスなら自然に抱え込めます。
身体に無理な負担がかからないため、正しい演奏フォームを身につけるのも早くなります。
長時間の練習でも疲れにくいサイズ感は、上達スピードを上げるためにも非常に重要な要素です。
3万円台でもトップ単板を採用した音質の良さ
アリアやヤマハと同様に、モーリスも低価格帯のモデルに「トップ単板(一枚板)」を積極的に採用しています。
合板(ベニヤ板)を重ねただけのギターとは、音の伸びや深みが根本的に違います。
最初から本物の良い音で練習することで、音に対する感性が磨かれ、上達の喜びも大きくなります。
リーズナブルでありながら、楽器としての「質」を一切妥協しないのがモーリスの誠実さです。
モーリスのギターで選ぶべきモデル3選!
モーリスのラインナップは非常に多岐にわたりますが、今の時代に手に入れるべき「間違いない」モデルを厳選しました。
自分のプレイスタイルや予算に合わせて、この3つの中から選べば失敗することはありません。
王道のスタイルから、現代的なソロギター向けまで、それぞれの個性を解説します。
1. ストローク派に最適な王道のM-021
ジャカジャカと力強くかき鳴らしたいなら、大きなボディが特徴のドレッドノートタイプ「M-021」がおすすめです。
低音が力強く響き、歌の伴奏として圧倒的な存在感を放ってくれます。
表板にスプルース単板を使用しており、弾き込むほどに音に深みが増していく楽しみがあります。
「これぞアコギ」というパワフルな音を求めている方に、まず手にしてほしい一本です。
2. 小ぶりで弾きやすいフォークサイズのF-021 (F-1)
女性や小柄な方、家でゆったり弾きたい方にぴったりなのが、小ぶりなボディの「F-021」です。
抱え込みやすく、一音一音が繊細に響くため、歌にそっと寄り添うような演奏が得意です。
かつてのフォークブームを象徴するサイズ感を受け継いでおり、どこか懐かしくも洗練された響きを持っています。
手軽に手に取れるサイズ感は、日々の練習時間を自然と増やしてくれるはずです。
3. ソロギターへの入門にぴったりなS-031
憧れのソロギターに挑戦したいなら、専用設計のDNAを受け継いだ「S-031」が最適です。
上位機種のSシリーズと同じく、指での弾きやすさを追求したボディ形状とネック設計がなされています。
この価格帯で本格的なソロギターの響きを体験できるのは、モーリス以外のブランドではなかなかありません。
指先から生まれる繊細なメロディを、美しく響かせたいあなたのための特別な一本です。
他の人気ブランドとモーリスのギターを比較
ギター選びの際、必ず比較対象になるのがヤマハや海外の有名ブランドです。
モーリスがそれらと比べてどこが優れているのかを知っておくと、より納得して購入できます。
国産ブランド同士の戦いから、憧れの海外モデルとの違いまで、比較表を交えて分かりやすく整理しました。
1. ヤマハ(YAMAHA)の定番モデルとの違い
ヤマハは非常にクリアでバランスの取れた優等生な音が特徴ですが、モーリスはより「きらびやかで華やかな倍音」が魅力です。
特に高音域のキラキラとした輝きは、モーリスならではの個性と言えます。
ヤマハが全ジャンルを網羅する万能選手なら、モーリスはより「情緒的な響き」を重視するプレイヤーに向いています。
どちらも高品質ですが、音のキャラクターにはハッキリとした好みの差が出ます。
2. 海外ブランドのギルドやテイラーとのサウンド比較
ギルドのような無骨で力強い低音や、テイラーの現代的な明るい音とも、モーリスは一線を画します。
モーリスの音は「日本の風景に溶け込むような繊細さ」があり、聴き手に優しく語りかけるような響きです。
海外ブランドが広いホールで鳴らすためのパワーを重視するのに対し、モーリスは繊細なニュアンスを大切にします。
和音を鳴らした時の調和の美しさは、日本の職人が作るギターならではの強みです。
3. 同価格帯の他社ブランドよりもハードウェアが豪華
アリアなどのコスパ重視ブランドと比べても、モーリスのパーツ選びは非常に贅沢です。
ペグの滑らかさや、ナット・サドルといった音の要となる部分に、質の高い素材が惜しみなく使われています。
目に見えない部分に良質なパーツを使っているため、チューニングの安定感や音の伸びが一段違います。
同じ予算を出すのであれば、モーリスの方が「長く使える安心感」を手に入れられる可能性が高いのです。
| ブランド | 音のキャラクター | 得意なスタイル | 特徴 |
| モーリス | きらびやか・豊かな倍音 | ソロギター・アルペジオ | 低弦高で弾きやすい |
| ヤマハ | クリア・バランス重視 | 弾き語り・バンド | 圧倒的な堅牢さ |
| テイラー | 明るい・モダン | 指弾き・レコーディング | 独自のネック接合 |
| ギルド | 力強い・太い低音 | ストローク・ブルース | 無骨なサウンド |
モーリスのギターを長く愛用するためのメンテナンス
モーリスのギターは非常に精巧に作られているため、正しいケアをすれば親子二代で使い続けることも可能です。
特に国産ギターは、日本の四季による湿度変化にうまく対応させることで、その真価を維持できます。
愛機を最高のコンディションに保ち、音色を育てていくための3つの鉄則を紹介します。
どれも難しいことではありませんが、継続することでギターはさらに良い音で応えてくれるようになります。
1. 湿度管理でネックの反りとボディの膨らみを防ぐ
アコギの最大の天敵は、極端な乾燥と湿気です。
理想的な湿度は50%前後ですので、夏場のジメジメや冬場のエアコンの直風には細心の注意を払いましょう。
特に冬の乾燥は、木材が割れてしまう深刻なトラブルを招くことがあります。
ケースの中に湿度調整剤を入れておく。たったこれだけで、ギターの寿命は劇的に延びます。
2. 指板オイルを2ヶ月に一度塗って乾燥を避ける
弦を押さえる指板(ローズウッドやエボニー)は、油分が抜けるとカサカサになり、フレットが浮いてくる原因になります。
2ヶ月に一度、弦を張り替えるタイミングで、レモンオイルなどを薄く塗って保湿してあげましょう。
しっとりと潤った指板は、見た目も美しく、フィンガリングのスムーズさも向上させます。
ギターに「お疲れ様」と声をかけるような気持ちで、優しく磨いてあげてください。
3. フレットの減りを定期チェックして音詰まりを予防する
特定の場所を繰り返し弾いていると、金属のフレットが少しずつ削れて凹んできます。
これが原因で「ジリッ」という雑音が混ざるようになったら、リペアショップでの調整が必要です。
放置すると演奏に悪影響が出るだけでなく、他の部分にまで負担がかかります。
定期的にプロの目で見てもらうことで、モーリス本来の「低い弦高」というメリットを維持し続けることができます。
現代のモーリスは若手プロも認める最先端モデル
「モーリス=フォーク」というイメージは、実はもう過去のものです。
現在のモーリスは、最新の音響解析や希少な木材を惜しみなく使い、世界のハイエンドギターと肩を並べる進化を遂げています。
古臭いどころか、今の音楽シーンに最も求められている「クリアで繊細なトーン」を実現している最先端のブランドなのです。
若手プロやSNSで再評価されている、現代のモーリスの姿を見ていきましょう。
1. 希少材を用いたルシアーメイドの圧倒的な鳴り
モーリスの最高峰ラインでは、ハワイアンコアやブラジリアンローズウッドといった、今や入手困難な希少材が使われています。
これらを一人のルシアー(製作家)が最初から最後まで作り上げる「ルシアーメイド」モデルは、まさに芸術品です。
一音鳴らした瞬間に、部屋の空気が変わるほどの圧倒的な音圧と美しさを誇ります。
「国産ギターは海外製に劣る」という固定観念を、その一音だけで粉砕するほどの力があります。
2. SNSやYouTubeで再評価されるクリアなトーン
最近ではYouTubeの演奏動画やSNSを通じて、モーリスの音の美しさが再び注目を浴びています。
マイク乗りが良く、録音した際にも音がボヤけないため、動画クリエイターたちからの信頼も厚いのです。
「おじさんのギターだと思っていたら、実は一番いい音がした」という書き込みも珍しくありません。
耳の早い若手プレイヤーたちは、すでにモーリスが持つ「本質的な価値」に気づき始めています。
3. ステージ映えする洗練されたヘッドデザイン
現代のモーリスは、ヘッドのロゴや形状も非常にスタイリッシュに進化しています。
伝統的な縦ロゴから、モダンなスクリプト体まで、モデルの性格に合わせてデザインが選ばれています。
どの角度から見ても美しく、ステージに立てておくだけで凛としたオーラを放ちます。
かつてのイメージを脱ぎ捨てた、洗練された「今のモーリス」は、どんなファッションにも馴染むかっこよさを持っています。
まとめ:モーリスで一生モノの音楽体験を手に入れよう!
モーリスのギターが「ダサい」と言われるのは、それだけ多くの人に愛され、一つの時代を作ったブランドであることの裏返しです。
しかし、その偏見の裏には、世界に誇る日本の職人技と、演奏者への深い愛情が詰まっています。
- かつてのイメージは捨てて、現代の「ソロギターの聖地」としての実力を見る
- 松本工場のハンドメイドによるアリ溝方式など、名器と呼ばれる確かな技術がある
- 初心者に優しい「低い弦高」と、日本人の手に馴染む設計が徹底されている
- フィンガースタイルに特化したSシリーズは、世界中の名手が認める唯一無二の存在
- 3万円台のエントリーモデルでも、徹底した国内検品で高品質が保たれている
- 湿度管理と定期的なメンテナンスで、親子二代で愛用できる一生モノになる
- SNSや若手プロの間で、そのクリアなトーンとデザインが再評価されている
ギターは見た目も大切ですが、最後に信じるべきは「音」と「弾きやすさ」です。
楽器店でモーリスを手に取り、その一音を鳴らしてみてください。
きっと、あなたが探していた「理想の音」がそこにあることに気づくはずです。
最高の一本と共に、あなたの新しい音楽生活を最高なものにしていきましょう!